麴は日本の誇るべき日本料理の基本調味料、酒・醬油・みりん。味噌を作るのに欠かせない菌です。


 国菌ともいわれる麹を用いた日本酒の製造方法が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました
 2024年12月5日 日本の伝統的なこうじ菌を用いた酒造り技術についてユネスコの無形文化遺産に登録決定

 数年前には、塩麹ブームもあり、ちょっとは皆様の意識の中に麹の存在が入ってきたと思います。
 今もスーパーに行けば、塩麹をうたった調味料がたくさん売られています。(これは本当に塩麴と言っていいものなのだろうか?というものも混じっていますが…)

 麴の効果・効能についてはたくさんの文献やYouTube・Instagramなどで皆さんも周知のことと思います。
 麹から作られる甘酒は天然の天敵と言われるほど豊富な栄養を持っています。
 また、健康のおおもとは腸であることは、腸内フローラという言葉が何年か前にはやったのでご存じの方も多いと思います。その腸を整える作用に優れています。腸が整うと精神的な安定ももたらすと言われています。
 美肌にもいいということで高価な美容液に麹菌が入れられているのもご覧になったことがあるのではないでしょうか?日本酒を仕込む杜氏・蔵人の手はきれいとお聞きしています。

これ以上の詳しい効果・効能についてはほかの文献にお任せすることとして、ここではどうして麴結のお結びは麹にこだわったのかをお伝えしたいと思います。

 

麴結と麹の出会い

 そう言いつつも、私自身が麹のすごさを体感したのはここ数年です。
 イベントに出展されている麹のお弁当やスイーツ、お料理教室で講師の先生が作られたお料理を頂いたとき、うわー!なんか何食べても美味しい!とワクワクしました。

 その中でも、初めて麹を使ったご飯を食べたとき、衝撃が走りました。滋味深いとはこのことか…。

 そして、残りご飯を冷蔵庫に入れて翌朝、さらにもっちりとして塩味が旨みと合体して膨らんだ味わいに。これには本当に驚きました。

 一般的に食品は時間の経過によって味や風味、食感が変化します。それにはいくつかの理由があります。

 酸化:空気中の酸素と食品の成分が反応することで、味や香りが変わることがあります。これが特に油脂を含む食品で顕著に見られる現象です。

 発酵:食品中の微生物が糖分やデンプンを分解して酸やアルコールを生成することによって、風味が変わります。これは発酵食品(例えば、チーズやヨーグルト)でよく見られます。

 乾燥:水分が蒸発することで、食品の食感が変わり、味も濃縮されることがあります。

 酵素反応:食品中の酵素が時間とともに反応し、風味やテクスチャーを変えることがあります。例えば、果物が熟すと甘くなるのもこの一例です。

 しかし、私の体感では時間が経って美味しくなったと思ったことは正直ありません。パサパサしたり、硬くなったり…でもこんなもんかなと思っていました。きっと一部、高級ワインや熟成肉、チーズなどを除いて時間が経って美味しいものに出会えることがあるなんて思っていませんでした。

麹を使った料理の場合

 しかし、麹のご飯は違いました。
 私が翌朝の麹ご飯を食べて驚いたように、特に麹を使った料理は、味の変化が顕著です。これは麹が持つ酵素の働きによるものです。麹にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼといったさまざまな酵素が含まれており、これらがデンプンを糖に分解したり、タンパク質をアミノ酸に分解したりすることで、食品の風味が劇的に変化します。

  • アミラーゼ:デンプンを分解して糖を生成し、甘みを増す。
  • プロテアーゼ:タンパク質を分解してアミノ酸を生成し、旨味を増加させる。
  • リパーゼ:脂肪を分解して脂肪酸を生成し、風味を豊かにする。

 麹を使った料理では、これらの酵素の活動が時間とともに進行し続けるため、保存状態や時間経過に応じて味わいが変わることが多いです。これが麹を使った料理が特に味の変化が激しい理由です。(農林水産省;日本の食文化に欠かせない『発酵』の世界 等参照)

 調理の過程で高温になることで麹自体は失活しますが、麹が生み出した酵素が生きていたり、生きている間に起こした変化により、麹を使った料理は時間の経過による味の変化を楽しむ一面があり、食べるタイミングによって異なる風味を味わえるという魅力があります。

 この風味の変化に私はワクワクしました‼

 アレルギーっ子を育てた経験のある私は、20年食べ物に悩み振り回され、食べ物を作ることにかけるエネルギーを子育て中に使い果たしたと思っていましたが、『これはみんな食べたほうがいい!お結びにして皆さんに食べてほしい!』と思うくらい感動しました。

 麹は健康に良い!それはきっと本当ですが、皆様が体感していただくには麴結においでいただいた1回だけでは正直難しいです。
 ですが、一粒で二度おいしい‼ではありませんが(笑)店頭でのお召し上がりだけでなく、ご自宅でもその風味の変化していく様をお楽しみいただけたらと思います。
 (ただし、お結びは生鮮食品です。麴結のお結びは完全無添加で防腐剤等も使用しておりません。必ず、高温多湿を避け当日中にお召し上がりください。)

 炊き立ての栗のようともいわれる香り、もっちりとした食感、色や味わいの変化…
 この度、商品として皆様にお届けするために麹調味料だけでも20種類以上吟味しました。醤油・味噌などもスーパーより多い品ぞろえと言われながら検討して、試作を重ねて…本当に大変な思いでしたが、それでもわくわくしながら開発いたしました。

 風味が変化する食材に向き合うのは本当に大変ですが、それでも、麴結が麹にこだわるのは、
 未来に麹を、日本文化を残したい。
 そのために、麴結でまず一度手に取っていただき、麹が生きていること、その変化は皆様の体の中で目に見えない場所でも起きるであろうことを感じてほしい。
 そして何より、既成概念の外にある美味しさを体感していただきたいからです。

本当の健康について考える

 また、ぜひ皆さんに本当の健康について考えたり、本物の麹に触れる機会にしていただきたいと思っています。
 皆さんが考える本当の健康って何ですか?

 健康を得たくて手にするには疑問があるものがスーパーには良いものの顔をして並んでいます。塩麴ブーム以降、今も並ぶ品物の中には、本当の健康を考えて私たちが辿り着いた本当の麹と違うものが混じっています。
 世の中にはたくさんの健康をうたうサプリや医療があります

 私の考える本当の健康は、日々、普通に口にするものによって自分の体の力を最高に高めて、自然と毎日が心も体も豊かでいられることです。
 麴結のお結びを食べて、はい、その日から健康!とはなりません。
 しかし、『本当の健康って、こんなほっこりとした温かい気持ちから生まれるのかもしれないな…』と思って頂くきっかけになれたらうれしいです。
 
 人間は地球という自然環境の元、生きています。自然との共生、それを目に見えない麹菌を取り入れることで、少し考えていただくきっかけとなれば幸いです。